40。 – MRIと誕生日 − 1

6/18/2023

手術 日常

t f B! P L


乳がんの告知を受けてから2週間とすこし。
40歳の誕生日を迎えた。

1か月前には、この日は彼と美味しいものを食べに行く予定が入っていたというのに、事態は一転し、この日は乳がんがどれだけ広がっているかを調べる造影剤を使ったMRIの検査を受けにいくことになっていた。

針生検をしたときには、乳がんじゃないだろうと思っていたから、乳がんだと分かってから行う初めての検査だ。まだ手術も治療も何も始まってないくせにうじうじ泣いている自分に落ち込んでいたが、一方で前に進んでいくことがこわいという気持ちもあった。このMRIからすべてが始まっていってしまうんだなと途方にくれていた。

別の部位のMRI自体はやったことがあったけれど、造影剤を使ったMRIは初めてだ。
Twitterで「造影剤が入っていくのが分かる」「冷たい液が血管を流れるような感覚」「造影剤を入れるのが痛い」という情報を得ていた。それもあって余計こわかったし、そもそも注射自体もとても苦手だから、もうなにもかもがこわかった。

そんなことばかり考えてあまり眠れずに朝を迎え、Twitterにぽろっと弱音をこぼしたらびっくりするくらいのいいねをもらった。

がんばらないと。
自分を奮い立たせて病院に向かった。

受付をすませると、検査室の近くで待つように指示をされた。
すると友人から励ましのLINEが届いた。40歳にもなって恥ずかしいけれど「MRIだけでこわい」と泣き言を言うとこんな返事をくれた。

「詳細に敵の情報を知るためだから!敵を知らないと攻略できない!!」

薬剤師でありゲーマーである、彼女らしいアドバイスだ。

でも、この言葉がすとんと腑に落ちた。
病気に立ち向かっていかなければいけないとは思っているのに、がんばらないとと思ってはいたのに、わたしは本当は覚悟ができてなかった。そうか。病気に立ち向かうために、これから手術や治療をして元気になっていくために必要な過程なんだ。やるしかない。ここでようやく覚悟ができた。

名前が呼ばれ検査室のすぐ外で待つように言われ、造影剤を入れるためルートを取ることになった。緊張していると看護師さんに大丈夫か尋ねられ「注射が苦手なんです...」と辛い表情を作りながら伝えた。苦手だったら苦手とアピールしたほうがいいというのが看護師の友達、薬剤師の友達、共通のアドバイスだった。

目線をそらしている間にさっと針を刺してくれてそんなに痛みも感じなかった。
ほっとしたが、その状態で數十分ほど待たされ、だんだんと針が刺さったままの状態の腕を見ていると悲しい気持ちになった。

ついに順番が来て指示にしたがってMRIの機械にうつぶせになるとヘッドホンをつけられた。音楽は流れていなかった。(病院によっては音楽が流れているヘッドホンをつけるらしい)

ヘッドホンをしているからなんとか耐えられるくらいの大きな音がするなかで、まずは造影剤を使わずのMRI、そして後半は造影剤を入れての撮影だった。
「今から造影剤を入れていきますね」の言葉に少し体がかたくなった気がした。
針を入れた腕の血管の中をなにかが通るようなぞわっとした感覚があった。これが全身の血管に行き渡る感覚があるのかなと思ったが、腕を通って少し他のところに流れ出したと思ったところでその感覚は消えた。痛みはなかった。

また爆音の中に戻され、數十分で検査は終わった。
結局ルートを取るときも造影剤を入れるときも痛みはほとんど感じなかった。

その日、誕生日のお祝いメッセージをくれた友人への返信として、こんなLINEを送った。

「MRIやってきたー!大変さの道のり的には100万分の1よりも少ない一歩だと思うけど、ひとつ進んでよかった...みたいな気持ちになってる。」

これから始まる長い戦いの最初の一歩を踏み出せたと安堵感を感じていた。

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